ブラックホールの撮影に世界で初めて成功した、というニュースを耳にした覚えがある人もまだ多いのではないでしょうか。

世界で初めて、それも地球からとても見えないような遥か彼方の天体を捉える技術というものがどういうものなのか、普通の生活をしている中では到底思いが至らない事だと感じてしまうかもしれません。

しかし、実は必ずしもそうではないのです。

このプロジェクトは「地球上にある電波望遠鏡を正確に同期させる事で、地球を巨大な電波望遠鏡として使えるのではないか」という着想から進められたもので、精度が高い電波望遠鏡を正確に動かすという、長年積み重ね続けられてきた技術を更にもう一歩、発想を進める方向を「工夫」するという所からスタートしたと言えるものです。

それは、自分たちが今まで積み重ねて来た技術や経験だからこそ、その積み重ねて来た中身に自信を持つ事が出来、その全てを適切に理解出来ているからこそ新たな使い方を模索する事が出来、その使い方を一歩進めようとする意欲を見出す事が出来たからこそ、世界初となる結果を収める事にまで繋げる事に至ったのです。

そしてもう一つ大切な事は、このプロジェクトが世界各地に散らばる電波望遠鏡を正確に繋ぐ為、協力を仰ぐ研究者達が一つの目標へ向けて結束したという事です。
これは、単に研究を同じくする仲間が自然に協調出来たという事ではなく、お互いの責務と目標へ確かな敬意を持って理解出来るだけのコミュニケーションを、怠る事無く続けた結果であるという事です。

「コロンブスの卵」という言葉があります。
偉業を為すには発想の転換が大事だという意味で使われる事が一般的ですが、コロンブスも決して一人で新大陸へ到達した訳ではありません。
長期の航海を成功させるだけの船を造った人々が居て、長期の航海で生き死にを共にする何人もの船員が居て、それは初めて成し遂げられた事なのです。

皆さんがあらゆる事を工夫出来るものは何でしょうか。それを見つけて下さい。
皆さんがやろうとしている目標は何でしょうか。それを説明出来る言葉を探して下さい。
協力を仰ぐべき人は居るでしょうか。居るならば言葉を尽くし、力を尽くすという経緯を忘れないで下さい。

その積み重ねの先に得られる結果は、きっと大きな偉業にも劣らない経験です。