尊敬する人物かといえば、微妙ですがリチャード三世について話します。実に興味深い人物だからです。

シェイクスピアでおなじみの、イングランド王のリチャード三世は長らく悪役として語られてきました。いわく、兄を殺した、幼い甥たちを殺したなどです。

しかし近年の検証によってかなりが濡れ衣であったと判明しつつあります。埋葬場所から発見された遺骨からは、勇敢に前線で戦った形跡が確認され、脊椎側湾症であったことも確認されました。ワインの摂取や肉類の摂取が晩年増えたこともわかり、それまでは比較的質素な食生活だったことも判明しています。王族の三男坊に生まれた彼らしいと言えるでしょう。

シェイクスピアが彼を悪役にした理由はやはり、時代背景でしょう。リチャードを追い落として王位に就いたチューダー朝としては、前の王朝の悪辣さを宣伝されるのは大歓迎だったでしょう。

ではなぜ近年になって検証されつようになったのか?

最大の要素は、皮肉にも王家に代々伝わった絵画に有ります。そこに描かれたリチャード三世は、生真面目な誠実そうな表情で描かれています。生真面目すぎて胃を悪くしていそうな、そんな人物に感じられるのです。

私も初めて見た時、あまりのイメージのギャップに驚きました。ヘンリー七世、エリザベス一世たちの祖父になる人物ですが、こちらの方がよほど狡猾な印象です。

これに着目して書かれたのが、「時の娘」と言う歴史探索ミステリーの名作です。一読をお勧めします。

私たちの周囲には情報が土石流のように流れています。大切なのはどの情報を選ぶのか、だと思います。
そして真実は意外なところに静かに佇んでいるのでしょう。それを見極められる眼を持っていたいと思います。