以前と言うか、子供の頃に尊敬できる人と言われると、歴史上の有名人などを上げていました。
でも実際のところ、尊敬できる人というのはもっと身近に存在するものだということを、通勤途中で知ったのです。

いつもの電車は、時差通勤での出勤時にはそれほどの混雑ではありません。
通勤ではなく、何かの用事で出かけるらしい高齢者とか子供連れの人も見かけます。

その中に、時々見かける老婦人、と言ったら失礼ですが初老という感じの女性がいました。
あやふやな表現は、髪の毛を見るとほぼ真っ白なのに、座っていても姿勢良く背中も私達よりもすっと伸びていたからです。
年齢の予想ができない、そんな感じの婦人です。

優先席に座っていることが多いのですが、近くに杖をついた人や、視覚に問題のなる人が立つと、すぐに席を譲るんです。

実は優先席にも、結構若い人が座ってます。
スマホとか居眠りをしてる人たちです。
そうした人たちが見ない振り、もしくは実際に見ていないのかもしれませんは、無反応なのに彼女だけはすぐに立つんです。

すごいなあと思いつつある日ふと気がつくと、彼女のバッグにヘルプマークがついていたんです。
赤字に白抜きで十字が書いてあるマーク、見えないところに不具合のある人が付けて、他の人にそのことを知らせるマークなんです。

自分も不具合があるのに、一番先に席を立つってどうしてできるんだろう、と思いました。
そうしたらその日、席を譲られた人とその女性の会話が耳に入ったんです。

自分も不具合が出来て、困っている人の気持ちがわかるようになった、と彼女は言っていました。
健康な時にはわからなかったけど、自分がその立場になってみてその大変さがわかるようになったんです、と言っていました。

本当に、何と言っていいのかわかりませんでしたが、すごいと言うしかなかったんです。

国家を守ったとか、国の英雄というのももちろん尊敬できる人たちです。
しかしこうした行為ができる、しかも自分が弱者になって初めて他の人の気持ちがわかって、なのでもっと弱い人をカバーする、そう考えられる人っているんですね。
我が身を少々恥じ入ったのと、こんな身近に尊敬に値する人を見つけられた喜びとで、その後自分の行動も多少変化したと、そんな風に思うのです。