「早起きは三文のトク」と書く時、大抵の人は間違った漢字を書くことでしょう。
最後の「トク」は損得の得ではありません。道徳の徳が正解です。

ところで、三文は昔のお金の単位ですが、いったいどれぐらいの価値なのでしょうか。
文は江戸時代の最低の貨幣単位で、江戸時代は長かったので今の貨幣と一概には換算できませんが、
ザックリいうと100円玉1枚程度だと思って下さい。

しかしそれよりも、ほとんど値が付かないことを「二束三文」と表現したり、
観る価値もないような下手な芝居のことを「三文芝居」といい、
安物の印鑑のことを「三文判」と呼ぶように、
「三文」とは極々価値の少ないことを言い表す言葉だと考えましょう。

早起きの三文を損得の得とした場合、
早寝はほとんど有るか無しかの僅かな得しか得られないということになります。
これでは諺としてはちょっと意味不明になってしまい、
早起きなんて損だからするもんじゃない、と諭されている感じになってしまいます。

ここに「トク」が「得」ではなく「徳」であることの重要性があるのです。
徳の意味は宗教によって解釈は様々で一概には規定できませんが、
それが人の品格に関わるような根本的な善なのは間違いないでしょう。

それは一朝一夕に成るものではなく、人が一生を通じて弛みなく、
コツコツとこまめに積み上げる努力しなければなないものです。
なぜなら一つ一つ言動で積まれる徳は誠に小さいものだからです。
そしてその小さな小さな徳を地道に積み重ねることでしか、
立派な徳を持つことはできない、とこの諺は教えているのです。

早起きしたから通勤途中で100円拾っちゃった、
というのは決して三文の徳ではありません。