京都にお店を構える懐石料理店のご主人が仰られていたお話をご紹介します。

ご紹介するお店は何年も連続でミシュランの星をとられており、外国人観光客も多く訪れる有名店です。一方で、国内のお客様も多く、記念日や会食に利用される方も数多くいらっしゃいます。

ご主人が気になると言われていたのが、お客様の行動についてです。

外国人観光客の皆様は、初めて日本に来て本格的な懐石料理を食べる方も多く、一品一品に対するご主人の丁寧な仕事に大変感動されるそうです。時には涙を流し、一生の思い出と喜んでくださるそうです。

対して日本人のお客様は、感動はしてくださり満足して帰られるそうなのですが、片手には携帯を握り、まずは料理の味よりも写真を撮ることに夢中な方が多いそうです。

懐石では椀物のように、ふたを開けた時に立ち上る香りも楽しんでほしいという繊細なお料理もありますから、料理よりも携帯に夢中になっている姿は気になったのでしょう。

ご主人は言います。
『最近の若い方は特に写真を何枚も撮って帰られる方が多いんです。隠している訳ではないですから、その写真をSNSに上げていただいても全く問題はありませんが、料理の味を覚えていますか?と言いたいのです。写真を見て思い出す、それも一つの思い出の形だと思います。でも私は、思い出は料理の味、そしてそれを食べたときの空間の記憶であってほしいと思うのです。本当に美味しいものを食べたときの記憶は、五感を通してずっと記憶に残るのです。』

このお話を聞いて、『映え』もほどほどにしなければいけないなと思いました。

思い出を写真に残すのは決して悪いことではありませんが、皆さんも大切な人と大切な空間で美味しいお料理をいただく際は、少しスマホを握る時間を減らしてみてはいかがでしょうか。