不易流行とは俳句に作るに当たっての心得です。
不易とは変わらざるもの、流行とは変わるべきもの、という意味です。

つまり良い俳句を作るには、まずは基本の俳句をしっかり身に着けなければなりません。
それは長い俳句の歴史の中にある先達の遺作に学ぶことになりますが、
しかし過去と現在では世の環境が大きく変化しているところがたくさんあります。
その変化に応じて俳句も変わらねばならない部分があるはずです。
ですから良い俳句とは、俳句とは何ぞやという普遍的な基礎を守りながら、
新たな変革を加えたものだというのです。

言い換えれば伝統と進歩ですが、企業でもこの両立は言うが易しで、
どうしてもこの両者は相反する存在になりがちです。
しかしこれを見事に体現しているのがソニーです。

いやいや、ソニーといえば進歩革新でしょう。
ソニーのどこに伝統という二字があるの?と思われるでしょう。

「技術上の困難は寧ろこれを歓迎」「高級技術製品を対象とす」
「他社の追随を絶対に許さざる境地に、独自なる製品化を行う」。

これらは、昭和21年に興された、
ソニーの前身である東京通信工業の設立趣意書の中に書かれている文章です。
これを現代的に意訳すると、

「無理だといわれるような技術にチャレンジし、それによって獲得した世に無い最高度の技術で、
 他社には絶対真似のできない域にまで到達した、独自の製品を造る」

と読めます。まさにこれは進歩変革の最高峰で流行そのものです。
全てはチャレンジ、あまねく変化です。ここに不易、伝統の入る余地などないように思えます。
企業が始まって以来今に至るまで、自他共に認める変革の雄、それがソニーです。

しかしそれこそがソニーの不易、伝統なのです。
常に変わってゆくこと、そのことを絶対に変えてはいけないのです。
ソニーは不易流行を見事に実現して見せてくれています。