プラモデルの命は金型にある、とプラモデルメーカー最大手の田宮模型の田宮俊作社長が言っています。
プラスチック製品は金型による射出成型で生産されるので、金型の善し悪しがそのまま製品の品質に直結します。

今や世界の田宮といって過言ではないこの会社ですら、プラモデルを扱った当初には金型は外注で、
高価な金型代の捻出や納期などがいい加減な金型屋に苦労しています。

だから金型の重要性を認識していた田宮社長は、
外注が当たり前であったこの時代に、社内に金型部を設置することを決めました。
ただ一人前の金型職人になるには10年はかかるというほどそれは特殊技術の世界で、
金型部などそう簡単に創れるものではありません。
それでも田宮社長はこれを押し通し、時間をかけて金型部を育てていきます。

やがてコンピューターによるCADが導入され、
金型造りの前段階である木型造りが省略されて効率が大幅に上がります。
しかし初期のCADは大変高価な機械で、従来の金型業界からは単なる社長の道楽だと冷笑される始末でした。
しかし後に田宮プラモデルの実物再現性が世界的に認められたのは、精巧・精密なパーツによるもので、
そのパーツを製造できる金型は、設計部との綿密な意思疎通ができる社内金型部があればこそでした。
早々に業界の常識を破ってまで社内金型部を発足させていなければ、
30数年後の田宮模型の世界的名声もなかったかもしれません。

これは先行投資の大切さを物語っています。運不運もあるでしょう。
先行投資が無駄になるかもしれない。しかしやらなければ100%何も生まれないのです。

これは会社だけではありません。
私たち一人々々の個人でも同様で、自分の将来のために、技術や知識、資格などへの先行投資が大切なのです。