褒めるとき、ついためらってしまうことはありませんか。
家庭にせよ職場にせよ、相手が子どもであれ部下であれ、褒めるというのは案外難しいものです。
下手をすればせっかく芽生え始めていた相手のやる気を削ぐかもしれませんし、時には反発を招いてしまう可能性だってあります。

よくある褒め方のアドバイスとして「結果よりも努力を褒めよ!」というものがあります。
しかし、そもそも結果を褒めるのは、なぜいけないことだと考えられているのでしょう。
それは、長い目で見たとき、褒められた側のやる気に結びついてこないからです。

「天才は挫折に弱い」という話は、誰しも耳にしたことがあるでしょう。
あれは周りの人たちが天才を挫折に弱くしているのです。
天才と言われて育った人たちは、生まれ持った素質・上げてきた成果ばかりを褒められてきたから、いざ思っていた成果が出なかったとき、「ああ、自分の才能ってこんなものだったのか」と挫折してしまうのです。

ならアドバイス通り努力を褒めるのが正解かというと、実はそうでもありません。
努力を褒めること自体は良いことですが、努力のみを褒めてしまうと話は変わってきます。

努力・根性論に重きを置くと、「失敗したのは努力が足りなかったんだ!」と努力・根性の道をひたすら突き進んでしまう可能性があります。
一見良いことに思えますが、その道──努力のやり方がそもそも間違っていたのでは、目も当てられない結果になってしまいます。
そもそも努力が足りなかったと思うのであれば、考えるべきは「もっと努力を!」ではなく、「何が努力不足を招いたのか」でしょう。

褒めてやる気を上げ、さらに成果に結びつけるためには「工夫」を褒めましょう。
この場合、工夫は「戦略」と言い換えても良いでしょう。

工夫した箇所を褒められていると、いざ失敗したときにも「あのやり方で上手くいくと思ったんだけどなぁ。一体どこがダメだったのか見直してみよう」と気持ちを切り替えることができるのです。
才能どうこうではなく、工夫・戦略が間違っていたんだと考えることができるのですから。

つまり、上司が部下を褒める上で大切なのは、どの工夫が良い結果に繋がったのかをきちんと見極め、それを評価することです。
この見極めはかなり難しいところです。
可能ならば、成果は成果で評価し、どのやり方が功を奏したかを共に振り返る機会を持つのもいいでしょう。

もちろん頭でわかっていても、こうした褒め方をいきなり実践することは難しいです。
特に上司や親──上の立場から下のやり方を見ていると、どうしても非建設的な側面にばかり目が向きがちです。
日頃からプロセスの中に建設的側面を見つける“目”を養っておきましょう。